ホニャララ


「痛っ!」
私はまた躓いて転んだ。何度も転んだから私の足は傷だらけ。
起き上がれないままの私の目には涙が滲む。
「もー!また転んだの?何時までも寝てないで早く立ちなよ!」
私はまだ立てない。立ち上がってまた転ぶのが怖いんだよ。どうしよう。
「何してるの?ほら一緒に行こう!」
私はまだ立たない。だって、私はあなたがそう言ってくれるのを待ってたんだよ。
駄々っ子みたいに頭をふるふると振り、まだ立たないよと意志表示をあなたに向ける。
しばらくの沈黙。
「あははは!やだ!やめて!」
あなたは私の脇腹をくすぐったんだ。
あなたはいつもそうするの。私を笑わせようとする。
私はいつもやめてと思っても、でも結局あなたの気持ちが嬉しくて、笑ってしまうんだ。
否応なしに顔をあげた私の視線はあなたをとらえる。
あなたは何時だって私に笑ってくれるよね。
顔をくしゃくしゃにして笑ったり、苦笑いのときだってあるよね。
私はあなたのその笑顔を見て、嬉しくて切なくて、また涙が出るよ。だけどねホントは笑ってるんだよ?
「ほら、大丈夫。転んだって道を間違ったっていいじゃない。また立てば良いだけだよ、ね、行こう。」
私はあなたが差し出した手をぎゅっと握る。
「僕が君を置いていくと思ったのかい?ばかだなぁ。」
そう言ってあなたは私の隣で歩き出す。
私も、自分の傷だらけの足を一度見て、まだまだ平気と、あなたの手をもっとぎゅっと握って歩き出す。


あなたは何時も私の傍に居て明日も素敵な魔法を私にかけてくれるから。
転んだって、泣いたって、道を間違えたって、私は何時だってまた笑えるようになるんだよ。




あなたがこの世に生まれてくれて本当に良かった。
ありがとう。
ありがとう。






そんなアルバム。