胸キュンとはこのことか。
彼の書く文章は、いつも私をキュンとさせる。




しかし、ワタシはこのテープを聴いて胸のつっかえが取れるような感覚を味わっていた。
“ロックバンドに必要不可欠なモノ”、その全てが、既に、ココに存在していたからだ。


いや、これは何も偉そーなハナシではない。
その志を持つ者なら誰しも、バンドを組み、楽器を持ち寄り「ワン、ツー、スリー、フォー!」でひとたび演奏をはじめれば、そこには必ずパッションが生まれる。パワーが漲り、ジョイに溢れる。
さっきミラクルは存在しなかったと書いたが、それはウソ。ミラクルも必ずそこに或る。
ただ、それに気が付かないままでいるか、演奏力やら集客力やら見テクレやらに気を取られるようになって、そのうちに忘れてしまうかだ。
ラクルなんて最初はスタジオのそこかしこに転がっている。
バンドはそのミラクルが解けないように、いつまでも続くようにと切磋琢磨してセンスを磨きながらバンドを転がしていく。
その構造は至ってシンプル。だが、シンプルなだけにそれを維持していくのは困難。
邪念が勝ってはすぐにレールを外してしまうし、並大抵の志や単なる一時の酔狂ではいずれ夢から覚めるようにポキリと折れてしまう。


ソイツをオープンマインドで探し続け、いつまでも見失わず、壊さないようにすくい上げ、バンドの演奏で最強なモノにし、オーディエンスに投げ掛け続ける。


この感覚、なにもバンドだけに限る必要なんて、ないと思うんだよね。
シンプルこそが、困難だって、何だってそうじゃない、だって。


そう思わせてくれる力が、彼のこの文章や、彼らの音楽にはあるような気がする。よ。


3年前のライブ映像をひっぱり出して、クールにダサく叫ぶ彼を見たら、また、きっと、泣けてくるんだろうな。