せいねんとわたし




せいねんの作る曲は、せいねんとその仲間が作る曲は、
いつも、わたしの前にいる。
振り返っては、こっちを見て、ニコニコと笑っている。
せいねんとわたしの距離は、いつもまちまちだけど、後ろじゃなくて、絶対前にいる。
わたしの気持ちによってあけてくれるその距離はなんてまあ、いつも絶妙に。


せいねんは、わたしを激しく問いただしたりしない。
せいねんは、わたしを説き伏せたりしない。
せいねんは、ただ、前でニコニコと笑っている。
それがとんでもなく心地良いことを、わたしはずっと前から知っている気がする。


例えば、春の転寝のような、
例えば、夏のギラギラした日差しのような、
例えば、秋の移ろいゆく瞬間のような、
例えば、冬の寒い夜のような、
そんな優しいせいねんのうた。


せいねんは、ニコニコと笑いながら、一つだけわたしに教えてくれる。
「当たり前」はちゃんと存在するよ、と。
そしてまたニコニコと笑うのだ。